仕事のやり甲斐をなくし、心身ともに疲れて、転職したいMさん
(Mさん 30代 地方支店の管理部門所属)
【ご相談】昨年、上司が変わった。前の上司は厳しかったが、それに応えて頑張り、やり甲斐があった。今度の上司は優しいタイプだが、部下の意見を聞かないタイプで、年度の目標を立てるときに会議は開くが、皆の意見を聞かないで、一方的に押し付けてくる。そのため、やり甲斐を無くし、心身共に疲れている。上司に退職をしたいと申し出たら、うつ病かも知れないから、相談をするようにと勧められて相談。
相談事例は、相談者が特定できないように色々な相談を組み合わせています。(CLは、クライアント(相談者), COは、カウンセラー)
<1回目>
1. 辞めたいほど辛かった勤務先の状況を受容しながら、心を込めて傾聴。疲労感が強いので、うつ度を測ると16度。うつ病の基準以下ではあるが、うつ病の兆候があるので、念のために病院行きを勧め、CLも同意。
2. 転職に対しての具体的な目標を聞くと、明確ではないが、これから上場をする会社に転職してみたい。転職した場合の民間会社の厳しい点について話合う。また、転職も疲労感を取ってから考えた方が良いと助言。
3. 本社から、東京本社に転勤して欲しいと言われているが、子供の学校の問題もあり、転勤したくない。その事情をよく話して相談してみることを勧め、CLも同意。
4. 人前で話すとき、どきどきして、そのために昇格もしたくない。呼吸を測ると、過呼吸である。リラクゼーション法の腹式呼吸、及び筋弛緩法を指導。今後この方法で治してゆくことに同意。
5. CLは、以前からマイナス思考があるというので、認知行動療法で、今後、適応思考に変えることを勧め、面談を継続することに合意。
<2回目>
1. うつ度8度。前回の面談後、気分が楽になり病院にはかかっていない。うつ度が下がったことを共感。
2. 前回の面談で、自分の置かれている状況を客観的に見られるようになったことと、上司が少し態度を改めてきたので、転職を思い留まっている。それは、良かったと支持。その上で管理者の行動のアージリスのモデルⅠ、Ⅱを紹介し、要約して説明。Iのタイプ:目標を立てるとき人の意見を聞かないで、自分の都合のいいように一方的に設定し、達成を目指す。そのために自己完結的に終わり、参加者が、共有出来ずに、やり甲斐を持てない場合も出てくる。Ⅱのタイプ:現実に即した情報をあらゆる情報から適切な選択をした後で行動するようにし、そのために有能で傾聴に与えする意見を持った全員を参加させ、率直に議論をさせる。そのために、参加者全員が、組織体の団結心を共有でき、働き甲斐と、報われたという思いの環境が作られる。
3. CLは、前の上司はⅡのタイプで、今の上司は、Ⅰのタイプのようだという。辞めるという選択をする前に、自分の気持ちを率直に話し、しっかり話しあって見たらどうかと勧め、CLも考えてみることになる。
4. 人前で話すとき、どきどきする点について、話す場面を想定してトレーニングを実施。話す前にリラクゼーションの呼吸法をやり対処する。また、起きても対処法を使えば大丈夫と自分に言い聞かせる。
5. 身体が太り、それも精神的に悪影響をもたらしているかもしれないという点について、思考記録表を実施。適応的反応は、身体を動かすバトミントンを家族でやり体重を毎日測定すると出る。
<3回目>
1. うつ度1度。下がったことを共感。
2. CLは、子供時代には、積極性のある子供であったが、現在は消極的でマイナス思考の人間になってしまっている。その点について、本来の自分を理解するために思考記録表を実施。CLの生育時代に遡って聞きだして行く。中学時代までは、リーダーシップを発揮している子供であった。ところが、中学時代にCLの強引さに友達が皆離れて行った苦い経験がトラウマ的となり、それ以来、自分を抑え、人に迎合する癖が出来てしまったという気づきが起きる。適応的反応は、本来の自分は、リーダーシップを発揮できる人間であり、これからは、本来の自分を取り戻す。自信が持てるように勉強をして付加価値をつける。心に余裕が生まれるように楽しみを見つけると出る。
3. 会社を辞めたくなった心境を、前回の面談で勧められたように率直に上司と話合った。上司は、今後改めるということになり、CLは、退職することを思い留まった。COは、問題解決のために勇気を持って話合いの場を持ち、退職回避できたことを大いに支持した。
4. CLは面談により、今後の気持ちの持ち方と、方向性が明確になったということで、終結に合意。
5.最後に退職回避が出来て、大変ありがたかったとお礼を述べられた。